2017年07月01日更新

東大数学過去問解説 2016 理系 第3問 | 空間ベクトルと関数の微分

東京大学(理科-前期日程)(2015年版 大学入試シリーズ).jpg

「完璧」にこだわると破滅する

予備校や赤本の解答解説って、「完璧主義」なところがありますよね?

受験生的には超難しい問題でも「やや難」。ちょっと難しいと思っても「標準」。解説を読んでも、思いつきにくい解き方をさらっと書いていたり。よく自信を失っていました。

でも実際の入試では満点を取らなくてもいい、というか普通は取れるものじゃありません。実際、合格者平均点は50〜60点です。

ここでは合格者平均点を目指して、取るべきところ・取りたいところ・捨てるべきところを区別しつつ、「なぜ」その解答になるのかも含めて丁寧に解説していきます!

2016年東大理系数学では「第1,3問完答・第2,4,6問で20~30点」を目指す

この年度の問題は第1,3問が「これぞ典型問題」といった感じで、受験生の大半が解けています。その他も「途中まではできる」ような問題が多いので、いかに部分点をもぎ取るかの勝負です。

第3問は、同じく解きやすい第1問と比較すると若干問題文が長く、問題設定を頭に入れるという一手間が必要。でも、それさえ済んでしまえば第1問以上に楽な問題です。

時間配分は\(S(a)\)を求めるのに10分、\(S(a)\)の最小値を求めるのに10分でしょうか。もちろんもっと速くできるならそれでいいですし、この時間を多少オーバーしても大丈夫です。最大で30分までならかけてもOK。とにかく解き切ってほしい問題です。

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2016年東大理系数学 第3問の問題文

 \(a\)を \(1 < a < 3\) をみたす実数とし、座標空間内の4点\(P_1(1,0,1)\), \(P_2(1,1,1)\), \(P_3(1,0,3)\),\(Q(0,0,a)\) を考える。直線 \(P_1Q\), \(P_2Q\), \(P_3Q\) と\(xy\)平面の交点をそれぞれ\(R_1\), \(R_2\), \(R_3\) として、三角形\(R_1R_2R_2\) の面積を \(S(a)\) とする。\(S(a)\) を最小にする \(a\) と、そのときの \(S(a)\) の値を求めよ。

2016年東大理系数学 第3問の解答・解説 〜空間図形だけど代数的に考える〜

方針
「3次元空間の直線の式」と来たら、直線上の任意の点の位置ベクトルで考えるのはお決まりですね。

「\(xy\)平面上」ということは\(z\)座標が0ということなので、媒介変数で表した位置ベクトルの\(z\)成分が0になるという方程式を立てればOK。

求まった座標をもとに三角形の面積\(S(a)\)を求めて、増減表を書けば終わりです。

空間図形は幾何的な性質を使うのが困難な場合が多いので、このように代数的に考えちゃうのが楽です。特にこの問題のように、図形が変数によって変わるような場合は最初からベクトルで考えましょう。


3点\(R_1, R_2, R_3\)の座標を求める。

\begin{eqnarray}
\overrightarrow{QP_1} &=& (1, 0, 1-a)\\
\overrightarrow{QP_2} &=& (1, 1, 1-a)\\
\overrightarrow{QP_3} &=& (1, 0, 3-a)
\end{eqnarray}
より、直線\(P_1Q, P_2Q, P_3Q\)上の点の位置ベクトル\(\vec{p_1}, \vec{p_2}, \vec{p_3}\)は実数\(t_1, t_2, t_3\)を用いて
\begin{eqnarray}
\vec{p_1} &=& \overrightarrow{OQ}+t_1\overrightarrow{QP_1}\\
&=& \bigl(t_1, 0, (1-a)t_1+a\bigr)\\
\vec{p_2} &=& \overrightarrow{OQ}+t_2\overrightarrow{QP_2}\\
&=& \bigl(t_2, t_2, (1-a)t_2+a\bigr)\\
\vec{p_3} &=& \overrightarrow{OQ}+t_3\overrightarrow{QP_3}\\
&=& \bigl(t_3, 0, (3-a)t_3+a\bigr)
\end{eqnarray}
と表される。

点\(R_1, R_2, R_3\)は\(z\)座標が0であるから、これらの点における\(t_1,t_2,t_3\)の値は、

\(\vec{p_1}, \vec{p_2}, \vec{p_3}\)は互いに独立なので、媒介変数は\(t_1, t_2, t_3\)のように別々にする必要があります。

\begin{eqnarray}
t_1 &=& \frac{a}{a-1}\\
t_2 &=& \frac{a}{a-1}\\
t_3 &=& -\frac{a}{3-a}
\end{eqnarray}
(\(1 < a < 3\)より、\(a-1 \ne 0, 3-a \ne 0\))

よって\(R_1, R_2, R_3\)の座標はそれぞれ、
\begin{eqnarray}
R_1 &:& \bigl(\frac{a}{a-1},0, 0\bigr)\\
R_2 &:& \bigl(\frac{a}{a-1}, \frac{a}{a-1}, 0\bigr)\\
R_3 &:& \bigl(-\frac{a}{3-a}, 0, 0\bigr)
\end{eqnarray}

この段階で三角形\(R_1R_2R_3\)が直角三角形だということを見抜けなくはないですが、図を描けば言葉や式で説明せずとも一目で伝わります。空間図形を描くのは手間がかかりますが、平面の場合は大した手間でもないので積極的に図を描きましょう。

これらを\(xy\)平面上に打つと下図のようになる。(∵ \(1 < a < 3\))
2016_3_01

図より、

$$ S(a) = \frac{1}{2}\cdot\frac{a}{a-1}\left\{\frac{a}{a-1}-\left(-\frac{a}{3-a}\right)\right\} = \frac{a^2}{(a-1)^2(3-a)} $$

次に\(S(a)\)の増減を調べる。

\(S(a)\)を\(a\)で微分して、

\begin{eqnarray}
\frac{dS(a)}{da} &=& \frac{2a\cdot (a-1)^2(3-a) – a^2\cdot\{2(a-1)(3-a) + (-1)(a-1)^2\}}{(a-1)^4(3-a)^2}\\
&=& \frac{a(a-1)\{(-2a^2 + 8a -6)-(-3a^2+7a)\}}{(a-1)^4(3-a)^2}\\
&=& \frac{a(a^2+a-6)}{(a-1)^3(3-a)^2}\\
&=& \frac{a(a-2)(a+3)}{(a-1)^3(3-a)^2}
\end{eqnarray}

を得る。

よって\(1 < a < 3\)における\(S(a)\)の増減表は次のようになる。 \begin{array}{|c|c|c|c|c|c|} \hline x &1&\cdots&2&\cdots&3\\ \hline \frac{dS(a)}{da} & &-&0&+& \\ \hline S(a) & &\searrow&S\left(2\right) = 4&\nearrow& \\ \hline \end{array} ∴ \(S(a)\)の最小値は \(4 (a=2)\)

変数が絡む空間図形は代数的に解く

空間図形の問題では幾何的な性質を使うと楽に解けることがあります。あっという間に解ける場合も。ですが、適用できる性質はその時々によって違います。ですから、幾何で解くのにこだわるのは良くないです。

一方ベクトルを使って代数的に解く方法は、場合によって式が複雑になることがありますが、基本的には最後まで解き切れます。ベクトルの扱いに慣れておきましょう。

冒頭でも言いましたが、この問題は2016年の問題全体の中でも1,2を争う易しさです。最低でもこの問題ができるようにがんばってください!

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