2017年06月28日更新

東大数学過去問解説 2016 理系 第1問 | 関数の極限と不等式の証明

東京大学(理科-前期日程)(2015年版 大学入試シリーズ).jpg

「完璧」にこだわると破滅する

予備校や赤本の解答解説って、「完璧主義」なところがありますよね?

受験生的には超難しい問題でも「やや難」。ちょっと難しいと思っても「標準」。解説を読んでも、思いつきにくい解き方をさらっと書いていたり。よく自信を失っていました。

でも実際の入試では満点を取らなくてもいい、というか普通は取れるものじゃありません。実際、合格者平均点は50〜60点です。

ここでは合格者平均点を目指して、取るべきところ・取りたいところ・捨てるべきところを区別しつつ、「なぜ」その解答になるのかも含めて丁寧に解説していきます!

2016年東大理系数学では「第1,3問完答・第2,4,6問で20~30点」を目指す

この年度の問題は第1,3問が「これぞ典型問題」といった感じで、受験生の大半が解けています。その他も「途中まではできる」ような問題が多いので、いかに部分点をもぎ取るかの勝負です。

第1問は部分点ではなく確実に満点を取れるように解き切って欲しいですね。それくらい典型的な問題。

単純に試験時間を問題数で割ると25分ですが、できればもっと早く終わらせて他に繋げたいですね。とは言っても解き切ることが大事なので、25分をちょっとオーバーしてでも確実に満点を取りたいところ。

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2016年東大理系数学 第1問の問題文

 \(e\)を自然対数の底、すなわち \(e = \displaystyle\lim_{t \to \infty}\left(1+\frac{1}{t}\right)^t\) とする。すべての正の実数\(x\)に対し、次の不等式が成り立つことを示せ。
$$ \left(1+\frac{1}{x}\right)^x < e < \left(1+\frac{1}{x}\right)^{x+\frac{1}{2}} $$

2016年東大理系数学 第1問の解答・解説 〜極限に注意する〜

方針
このような関数の不等式を証明するときは、関数を微分して増減を調べて最大値・最小値・極大値・極小値・極限などから大小関係を見ていくのがお決まりのパターンです。
ただ今回の関数はそのままだと微分するのが大変なので工夫が要ります。


与えられた不等式の各辺について自然対数をとった式

$$ x\log\left(1+\frac{1}{x}\right) < 1 < \left(x+\frac{1}{2}\right)\log\left(1+\frac{1}{x}\right) ~~ (x>0) \tag{a} $$

を示せばいい。

底にも指数にも\(x\)が含まれるときは対数(基本的には自然対数)を取ると計算しやすいことが多々あります。
以下、\(f_1(x) = x\log\left(1+\frac{1}{x}\right), f_2(x) = \left(x+\frac{1}{2}\right)\log\left(1+\frac{1}{x}\right)\) とする。

(i) \(f_1(x) < 1\)を示す。

\(f_1(x)\) を \(x\) で微分すると、
\begin{eqnarray}
f_1′(x) &=& \log\left(1+\frac{1}{x}\right) + x\left(-\frac{1}{x^2}\right)\frac{1}{1+\frac{1}{x}}\\
&=& \log\left(1+\frac{1}{x}\right) – \frac{1}{x+1}
\end{eqnarray}

この段階ではまだ\(f_1′(x)\)の符号がどう移り変わるのかわからないので、\(f_1″(x)\)を調べることで\(f_1′(x)\)の増減を調べます。

さらに\(x\)で微分して、
\begin{eqnarray}
f_1″(x) &=& \left(-\frac{1}{x^2}\right)\frac{1}{1+\frac{1}{x}} – \left(-\frac{1}{(x+1)^2}\right)\\
&=& -\frac{(x+1)-x}{x(x+1)^2}\\
&=& -\frac{1}{x(x+1)^2} < 0 ~~ (x>0)
\end{eqnarray}

よって\(f_1′(x)\)は\(x>0\)で単調減少。

同じ単調減少でも\(f_1′(x)\)が0以上の値に収束するなら\(f_1(x)\)は単調増加ですし、\(f_1′(x)\)が0未満の値に収束、または\(-\infty\)に発散するならどこかで\(f_1′(x)\)の符号が変わるので\(f_1(x)\)は極値を持ちます。どっちなのかを知りたいので極限を求めましょう。

ここで、

\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}f_1′(x) = \log(1+0) – 0 = 0\)より、\(x>0\)で\(f_1′(x) > 0\)

よって \(f_1(x)\)は\(x>0\)で単調増加。

\(f_1(x)\)が単調増加で、かつ\(f_1(x) < 1\)であるためには\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}f_1(x) ≦ 1\)とならなきゃいけません。この極限を調べて、\(f_1(x) < 1\)であることを確認しましょう。

さらに

\begin{eqnarray}
\displaystyle\lim_{x \to \infty}f_1(x) &=& \displaystyle\lim_{x \to \infty}\log\left(1+\frac{1}{x}\right)^x\\
&=& \log e\\
&=& 1
\end{eqnarray}
より、\(x>0\)で \(f_1(x) < 1\) である。

これで\(f_1(x) < 1\)が言えたので、同じような手順で\(f_2(x) > 1\)を示します。

(ii) \(f_2(x) > 1\) を示す。

\(f_2(x)\)を\(x\)で微分すると、

\begin{eqnarray}
f_2′(x) &=& \log\left(1+\frac{1}{x}\right)+\left(x+\frac{1}{2}\right)\left(-\frac{1}{x^2}\right)\frac{1}{1+\frac{1}{x}}\\
&=& \log\left(1+\frac{1}{x}\right)-\frac{x+\frac{1}{2}}{x(x+1)}
\end{eqnarray}

さらに\(x\)で微分して、

\begin{eqnarray}
f_2″(x) &=& \left(-\frac{1}{x^2}\right)\frac{1}{1+\frac{1}{x}}-\frac{x(x+1)-\left(x+\frac{1}{2}\right)(2x+1)}{x^2(x+1)^2}\\
&=& -\frac{x(x+1)+x(x+1)-2x^2-2x-\frac{1}{2}}{x^2(x+1)^2}\\
&=& \frac{1}{2x^2(x+1)^2} > 0 ~~ (x>0)
\end{eqnarray}

よって \(f_2′(x)\) は \(x>0\) で単調増加。

\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}f_2′(x) = \log(1+0)-0 = 0\) であるから、\(f_2′(x) < 0 ~~ (x>0)\)

ゆえに \(f_2(x)\) は \(x>0\) で単調減少である。

\begin{eqnarray}
\displaystyle\lim_{x \to \infty}f_2(x) &=& \displaystyle\lim_{x \to \infty}\left\{\log\left(1+\frac{1}{x}\right)^x+\frac{1}{2}\log\left(1+\frac{1}{x}\right)\right\}\\
&=& \log e + \frac{1}{2}\log(1+0)\\
&=& 1
\end{eqnarray}

となるから、\(x>0\) で \(f_2(x) > 1\)

(i),(ii)より、\((a)\)式は示された。

(証明終了)

典型問題はスピードが大事

くり返しになりますが、ほとんどの受験生が解けた問題なので「解けるかどうか」ではなく「いかに速く解けるか」が重要です。正確かつスピーディーな計算が求められます。

関数の不等式を示すときに導関数の符号・極値・最大値・最小値だけでなく、極限もしっかり考慮に入れることを習慣化していれば問題なかったはず。

「\(f(x) < a\)を示す\(\rightarrow f(x)\)の最大値が\(a\)未満」のように1対1で対応させて覚えてしまうとこのような問題で失敗しまうので、そこだけ気をつけてください。

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