2017年05月27日更新

東大数学過去問解説 2015 理系 第4問 | 複雑な3項間漸化式の式変形と帰納法

東京大学(理科-前期日程)(2015年版 大学入試シリーズ).jpg

「完璧」にこだわると破滅する

予備校や赤本の解答解説って、「完璧主義」なところがありますよね?

受験生的には超難しい問題でも「やや難」。ちょっと難しいと思っても「標準」。解説を読んでも、思いつきにくい解き方をさらっと書いていたり。よく自信を失っていました。

でも実際の入試では満点を取らなくてもいい、というか普通は取れるものじゃありません。実際、合格者平均点は50〜60点です。

ここでは合格者平均点を目指して、取るべきところ・取りたいところ・捨てるべきところを区別しつつ、「なぜ」その解答になるのかも含めて丁寧に解説していきます!

第1問と第3問以外でいかに取れるかの勝負

この年度の問題は第1問・第3問が答えやすく、ほとんどの受験生が満点レベルの答案を書けたことでしょう。その他の問題で20点以上稼げたかどうかが合否の分かれ目。

そして第1,3問の次に解きやすかったのがこの第4問!ここで(2)まで解けるとかなり楽になりますね。

時間配分の目安は(1)が7分、(2)が8分、(3)が10分。欲を言うと完答したいところですが(2)まで解ければOKなので、最初から(3)を捨てるつもりで(1)に10分、(2)に15分を費やしてもいいですね。第4問は3番目に解きやすいので、何も思いつかなくても5分は粘って考えたいところ。

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問題文

数列\(\{ p_n \}\)を次のように定める。

$$ p_1 = 1,~ p_2 = 2,~ p_{n+2} = \displaystyle\frac{p_{n+1}^2 + 1}{p_n} ~~~~ (n = 1, 2, 3, \cdots) $$

(1) \(\displaystyle\frac{p_{n+1}^2 + p_n^2 + 1}{p_{n+1}p_{n}}\) が \(n\) によらないことを示せ。
(2) すべての \(n = 2, ~3, ~4, \cdots\) に対し、\(p_{n+1} + p_{n-1}\) を \(p_n\) のみを使って表せ。
(3)数列 \(\{q_n\}\) を次のように定める。

$$ q_1 = 1,~ q_2 = 1,~ q_{n+2} = q_{n+1} + q_{n} ~~~~ (n = 1, 2, 3, \cdots) $$

すべての \(n = 1, 2, 3, \cdots\) に対し、\(p_n = q_{2n-1}\) を示せ。

解答・解説 〜数列というより式の証明の問題〜

(1) 「\(n\)によらない」を数列的な表現に言い換える

方針
「\(n\) によらない」を言い換えると…

  • \(r_n\) は定数
  • すべての \(n\) で \(r_{n+1} = r_n\)

なので、この式を直接証明するか帰納法で証明するかですね。

どちらで解いてもいいですけど、帰納法の方が回りくどい。帰納法でやる式変形は直接証明する方とほとんど同じなので。と言っても解く前にそこまで見通すのは厳しいでしょうから、得意なやり方で解ければOKです。ここでは帰納法を使わずに解きます。

帰納的に\(p_n > 0\)である。

最初に\(p_n\)が0でないことを言っておくと分母がゼロじゃないことをいちいち説明しなくて済むので効果的!

\(r_n = \displaystyle\frac{p_{n+1}^2 + p_n^2 + 1}{p_{n+1}p_{n}}\) とおくと、

書くのが面倒、後々頻繁に使いそう…と思ったらとりあえず別の文字式でおいてみる。当然記述する時間を短縮できます。

与えられた漸化式
$$ p_{n+2} = \displaystyle\frac{p_{n+1}^2 + 1}{p_n} \tag{a}$$より、

\begin{eqnarray}
r_{n+1} – r_n &=& \displaystyle\frac{\style{color: red;}{p_{n+2}^2} + p_{n+1}^2 \style{color: red;}{+ 1}}{p_{n+2}p_{n+1}} – \displaystyle\frac{\style{color: red;}{p_{n+1}^2} + p_n^2 \style{color: red;}{+ 1}}{p_{n+1}p_{n}}\\
&=& \displaystyle\frac{p_{n+1}^2 + \style{color: red;}{p_{n+3}p_{n+1}}}{p_{n+2}p_{n+1}} – \displaystyle\frac{p_n^2 + \style{color: red;}{p_{n+2}p_n}}{p_{n+1}p_{n}}\\
&=& \displaystyle\frac{p_{n+1}+p_{n+3}}{p_{n+2}} – \displaystyle\frac{p_n+p_{n+2}}{p_{n+1}}\\
&=& \displaystyle\frac{(p_{n+1}^2+\style{color: red;}{p_{n+3}p_{n+1}}) – (\style{color: red;}{p_np_{n+2}}+p_{n+2}^2)}{p_{n+2}p_{n+1}}\\
&=& \displaystyle\frac{(p_{n+1}^2+\style{color: red;}{p_{n+2}^2+1})-(\style{color: red;}{p_{n+1}^2+1}+p_{n+2}^2)}{p_{n+2}p_{n+1}}\\
&=& 0
\end{eqnarray}
分母をはらって\(p_{n+2}p_n = p_{n+1}^2+1\)とすれば使いやすくなります(個人的に)。
\(r_{n+1}\) 側では漸化式を \(n \rightarrow n+1\) と置き換えて \(p_{n+3}p_{n+1} = p_{n+2}^2\) のようにして、適切な形に変形してから代入しています。

よって \(r_{n+1} = r_n\) なので \(r_n = \frac{p_{n+1}^2 + p_n^2 + 1}{p_{n+1}p_{n}}\) は \(n\) によらない。 (証明終了)

(2) (1)をどのように使うかを意識する

方針
\(p_{n+1}+p_{n-1}\) を \(p_n\) のみを使って表すので、3項間の漸化式が必要。
問題文に与えられた漸化式 \(p_{n+2}p_n = p_{n+1}^2+1\) だけでは \(p_{n+1}+p_{n-1}\) を作り出せないので、他に関係式がほしい。
→(1)で示したことをうまく式にして \(p_{n+2}p_n = p_{n+1}^2+1\) と組み合わせる。

\(p_1 = 1, ~ p_2 = 2\) より、
$$ r_1 = \displaystyle\frac{p_2^2+p_1^2+1}{p_2p_1} = \displaystyle\frac{4+1+1}{2\cdot 1} = 3 $$
(1)より \(r_n\) は一定なので、
$$ r_n = \displaystyle\frac{p_{n+1}^2 + \style{color: red;}{p_n^2 + 1}}{p_{n+1}p_{n}} = 3 \tag{b}$$

これに気付けるかどうかが(2)の一番のポイント!
「\(n\) によらない」と来たら、まず「\(r_n = r_1\)」を思い浮かべてみるといいですね。

\(n ≧ 2\) において、(a)式で \(n \rightarrow n-1\) と置き換えると
$$ p_{n+1} = \displaystyle\frac{p_n^2 + 1}{p_{n-1}} $$となり、
$$ p_n^2 + 1 = p_{n+1}p_{n-1} \tag{c}$$を得る。

(c)式を(b)式に代入すると、
$$ \displaystyle\frac{p_{n+1}^2 + \style{color: red;}{p_{n+1}p_{n-1}}}{p_{n+1}p_{n}} = 3 $$
\(p_{n+1} + p_{n-1} = 3p_n ~~ (n = 2, 3, 4, \cdots)\)

(3) ひらめき勝負で帰納法を使うか、時間をかけて一般項を計算するか

方針
数列の証明問題を見たらまず思い浮かべるのが数学的帰納法。ここまでに出て来た関係式を駆使すれば\(n = k \rightarrow k+1\) の流れを証明できそうです。
ただこの問題の場合、(2)で得た3項間漸化式も(3)で与えられた漸化式も特性方程式を解いていけば一般項が求まっちゃいます。なので難しいことは考えずにゴリゴリ漸化式を解いてしまうのもアリです。(時間はかかりますが。)

解法1: 数学的帰納法で解く

すべての自然数 \(n\) に対して、\(p_n = q_{2n-1}\) が成り立つことを数学的帰納法で示す。

(i)\(\style{font-weight: bold;}{n = 1, 2}\) のとき

3項間の漸化式を利用するので \(n = 2\) のときも確認しないといけません。

\(p_1 = 1, q_1 = 1\) より \(n = 1\) で \(p_n = q_{2n-1}\) は成り立つ。
\(p_2 = 2, q_3 = q_1 + q_2 = 2\) より \(n = 2\) でも \(p_n = q_{2n-1}\) は成り立つ。

(ii)\(\style{font-weight: bold;}{n = k, k-1 ~~ (k ≧ 2)}\) で\(\style{font-weight: bold;}{p_n = q_{2n-1}}\) が成り立つと仮定すると、

ここで \(n = k, ~k-1\) で仮定しているのも3項間漸化式を使うから。

$$ p_k = q_{2k-1}, ~~ p_{k-1} = q_{2k-3} $$これを(2)で得られた漸化式 \(p_{n+1} + p_{n-1} = 3p_n\) に用いると、

$$ p_{k+1} + q_{2k-3} = 3q_{2k-1} ~~~ ∴ p_{k+1} = 3q_{2k-1} – \style{color: red;}{q_{2k-3}} $$
最終的に \(p_{k+1} = q_{2k+1}\) を示したいので、係数に3が付いている \(q_{2k-1}\) に\(q_{n+2} = q_{n+1} + q_n\) を使うのは得策じゃないですね。\(q_{2k-3}\) の方から\(q_{2k-1}\) を削っていきます。

与えられた漸化式
$$q_{n+2} = q_{n+1} + q_n \tag{d}$$に \(n = 2k-3\) を代入して
$$ q_{2k-1} = q_{2k-2} + q_{2k-3} $$より、
\begin{eqnarray}
p_{k+1} &=& 3q_{2k-1} – (\style{color: red;}{q_{2k-1} – q_{2k-2}})\\
&=& 2q_{2k-1} + \style{color: green;}{q_{2k-2}}
\end{eqnarray}

また、(d)式に \(n = 2k-2\) を代入すると
$$ q_{2k} = q_{2k-1} + q_{2k-2} $$より、
\begin{eqnarray}
p_{k+1} &=& 2q_{2k-1} + (\style{color: green;}{q_{2k} – q_{2k-1}})\\
&=& q_{2k-1} + \style{color: blue;}{q_{2k}}
\end{eqnarray}最後に(d)式で \(n = 2k-1\) とすると
$$ q_{2k+1} = q_{2k} + q_{2k-1} $$より、
\begin{eqnarray}
p_{k+1} &=& q_{2k-1} + (\style{color: blue;}{q_{2k+1} – q_{2k-1}})\\
&=& q_{2k+1}
\end{eqnarray}以上から \(n = k+1\) の場合についても \(p_n = q_{2n-1}\) が成り立つ。

(i), (ii)より、すべての自然数 \(n\) に対して\(p_n = q_{2n-1}\) である。 (証明終了)

解法2: 一般項 \(p_n, q_n\) を求める

(2)の結果を変形して
$$ p_{n+2} = 3p_{n+1} – p_n$$問題文より
$$ q_{n+2} = q_{n+2}+q_n$$

(※特性方程式の部分は解答に含めないこと)
それぞれの特性方程式:
\begin{eqnarray}
x_p^2 – 3x_p + 1 = 0\\
x_q^2 – x_q – 1 = 0
\end{eqnarray}
を解くと \(x_p = \displaystyle\frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}, x_q = \displaystyle\frac{1 \pm \sqrt{5}}{2}\)なので、

各漸化式を変形すると
\begin{eqnarray}
p_{n+1} – \displaystyle\frac{3 \pm \sqrt{5}}{2} &=& \displaystyle\frac{3 \mp \sqrt{5}}{2}\left(p_{n+1} – \displaystyle\frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}p_n\right)\\
q_{n+1} – \displaystyle\frac{1 \pm \sqrt{5}}{2} &=& \displaystyle\frac{1 \mp \sqrt{5}}{2}\left(q_{n+1} – \displaystyle\frac{1 \pm \sqrt{5}}{2}q_n\right)
\end{eqnarray}

(複合同順)

とできるから、

\begin{eqnarray}
p_{n+1} – \displaystyle\frac{3 \pm \sqrt{5}}{2} p_n &=& \left(\displaystyle\frac{3 \mp \sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}\left(p_2 – \displaystyle\frac{3 \pm \sqrt{5}}{2} p_1\right)\\
&=& \displaystyle\frac{1 \mp \sqrt{5}}{2}\left(\displaystyle\frac{3 \mp \sqrt{5}}{2}\right)^{n-1} ~~~ (∵ p_2 = 2, p_1 = 1)\\
q_{n+1} – \displaystyle\frac{1 \pm \sqrt{5}}{2} q_n &=& \left(\displaystyle\frac{1 \mp \sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}\left(q_2 – \displaystyle\frac{1 \pm \sqrt{5}}{2} q_1\right)\\
&=& \displaystyle\frac{1 \mp \sqrt{5}}{2}\left(\displaystyle\frac{1 \mp \sqrt{5}}{2}\right)^{n-1} ~~~ (∵ q_2 = 1, q_1 = 1)
\end{eqnarray}
(複合同順)
\(\pm\) や \(\mp\) を使って省略して書きましたが、\(\{p_n\}, \{q_n\}\) それぞれについて2つずつ式があるので、連立させて\(p_{n+1}, q_{n+1}\) を消去できますね。

\(p_{n+1}, q_{n+1}\)をそれぞれ消去すると、

\begin{eqnarray}
\sqrt{5}p_{n} = \displaystyle\frac{1 + \sqrt{5}}{2}\left(\displaystyle\frac{3 + \sqrt{5}}{2}\right)^{n-1} –
\displaystyle\frac{1 – \sqrt{5}}{2}\left(\displaystyle\frac{3 – \sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}\\
\sqrt{5}q_{n} = \displaystyle\frac{1 + \sqrt{5}}{2}\left(\displaystyle\frac{1 + \sqrt{5}}{2}\right)^{n-1} –
\displaystyle\frac{1 – \sqrt{5}}{2}\left(\displaystyle\frac{1 – \sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}
\end{eqnarray}

ここで\(q_n\)について\(n \rightarrow 2n-1\)と置き換えると…

\begin{eqnarray}
\sqrt{5}q_{2n-1} &=& \displaystyle\frac{1 + \sqrt{5}}{2}\style{color: red;}{\left(\displaystyle\frac{1 + \sqrt{5}}{2}\right)}^{\style{color: red;}{2}(n-1)} –
\displaystyle\frac{1 – \sqrt{5}}{2}\style{color: red;}{\left(\displaystyle\frac{1 – \sqrt{5}}{2}\right)}^{\style{color: red;}{2}(n-1)}\\
&=& \displaystyle\frac{1 + \sqrt{5}}{2}\style{color: red;}{\left(\displaystyle\frac{3 + \sqrt{5}}{2}\right)}^{n-1} –
\displaystyle\frac{1 – \sqrt{5}}{2}\style{color: red;}{\left(\displaystyle\frac{3 – \sqrt{5}}{2}\right)}^{n-1}
\end{eqnarray}
ここで \(q_{2n-1}\) と \(p_n\) の形を見比べやすくするために、あえて \(q_n\) の \(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}\) を \(\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^{n}\) としませんでした。

となり、\(\sqrt{5}p_n\)と一致する。

以上より \(p_n = q_{2n-1}\) が言えた。(証明終了)

闇雲に式変形せず、ゴールを意識して計算する

まず解けた人も解けなかった人も、今後覚えておいてほしいのは「\(r_n\)が\(n\)によらない」ことの言い換えです。

「\(r_n = c\) (一定)」とおけば「\(r_{n+1} = r_n\)」が成り立つのは当たり前なのですが、意外とこの言い換えが思い浮かばないものです。数列の問題ではこれを覚えておくといいことが多々あるので。

全体的に式変形の力が試される問題だったわけですが、手当たり次第に与えられた数式を代入するのではこのレベルの問題は解けません。

「こうするためには、この部分を消さなきゃいけなくて、そのためにはこっちの式を使うと良さそうだから…」と、ざっくり先を見通すだけで断然解けるようになります。しっかり最終的な形を見据えて関係式を使っていきましょう

証明問題については困ったら帰納法を試してみるといいでしょう。たとえば(1)で\(r_n = c\)とする方針では無理そうと言いましたが、直接式変形で示すのではなく、帰納法を使えば解けます。(まわりくどい上に結局仮定の\(r_k = c\)は使わず、 \(r_{k+1} = r_k\) を示すことになりますが。)

それでもわからなかったら思いつく限り式をいじるしかないですね。そうすることで見えてくることもありますから。

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