2016年10月14日更新

勘やセンスに頼らない整数問題の考え方①範囲を絞りこめ!(part 1)

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整数問題を雰囲気で解いていると、いつまでも足を引っ張られる

整数問題は、お決まりの解法が少ない(複数の解法を色々考えて試さなければいけない)ため、苦手とする受験生がとても多いです。

苦手意識のある受験生は、「整数問題は、数学的なセンス・勘に頼らないと解けない」と思い、対策を放棄しがち。結果なんとなく雰囲気で解いてしまい、整数問題が受験生にとってのアキレス腱であり続けます。

たしかに整数問題は、お決まりの解法こそありません。しかし、考え方・方針の立て方はある程度前もって定まっています。視点を体得すれば、解法の方針を立てるまでに要する時間を減らすことができます。

今回から4度にわたり、『範囲を絞りこめ!』を扱います。

範囲を絞りこむ具体的な考え方①対称性の利用

問題
\(\frac{x+y}{z},\frac{y+z}{x},\frac{z+x}{y}\)がすべて自然数となるような相異なる自然数の組\((x,y,z)\)を求めよ。

このような式を「対称式」であると気づくことが解答への第一歩です対称式とは、変数を入れ替えても変わらない数式のこと。上の式について、\(x\)を\(y\)に、\(y\)を\(z\)に、\(z\)を\(x\)に入れ替えてみても、同じ数式となりますね。

対称式を扱うとき、以下の性質を用いて数値の範囲を絞りこめることが多いです。

性質
与式が対称式ならば、\(x,y,z\)のどれを入れ替えても式が変わらないなら\(x<y<z\)などとしても一般性を失わない。

以上の性質に基づき、\(x<y<z\)であると仮定します。\(x<y<z\)だから、\(\frac{x+y}{z}\)を変形し、

\(\frac{x+y}{z}<\frac{z+z}{z}=\frac{2z}{z}=2\)

∴\(\frac{x+y}{z}<2\)

問題文より、\(\frac{x+y}{z}\)は自然数だから、\(\frac{x+y}{z}=1\)。

\(\frac{x+y}{z}=1\)より、\(x+y=z\)が得られ、問題文中の\(z\)を\(x,y\)で表すことができます。あとは例えば\(\frac{z+x}{y}\)に\(z=x+y\)を代入してみると、\(x,y\)の関係式が導かれます。

ただし、解答の最後に、仮定した\(x<y<z\)の制限を外す必要があります。

今回は\((x,y,z)=(k,2k,3k)\) (kは自然数)という答が導かれます。しかし例えば\(y<z<x\)と仮定していたとしたら、\((x,y,z)=(3k,k,2k)\) (\(k\)は自然数)という答が出てきます。

あくまで\(x,y,z\)の大小関係がどのようなものであっても、ある解に至るまでの論理展開が同様であるために、あるひとつの大小関係の場合について議論したのです。

だから、ここまでの解答に不備はありませんが、答を記す際は(順不同)などの注釈が必要です

※\((x,y,z)=(k,2k,3k),(k,3k,2k)\)…のように、全ての場合を列挙しても構いません。

解答
\((x,y,z)=(k,2k,3k)\) (\(k\)は自然数)(\(k,2k,3k\)は順不同)

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練習問題

問題

\(2\leq p<q<r\)を満たす整数\(p,q,r\)の組のうち、\(\frac{1}{p}+\frac{1}{q}+\frac{1}{r}\ge 1\)となるものを全て求めよ。

解説

\(2\leq p<q<r\)より、\(0<\frac{1}{r}<\frac{1}{q}<\frac{1}{p}\leq \frac{1}{2}\)

これと、条件の不等式から、

\(1\leq \frac{1}{p}+\frac{1}{q}+\frac{1}{r}<\frac{1}{p}+\frac{1}{p}+\frac{1}{p}=\frac{3}{p}\)

\(∴p<3\)

これと条件の\(2\leq p\)から、整数\(p\)の値は\(p=2\)に絞られる。

あとは、条件式\(2\leq p<q<r\)と、

与式\(\frac{1}{p}+\frac{1}{q}+\frac{1}{r}\ge 1\)に\(p=2\)を代入し、

整理した\(2<q<r\)、\(\frac{1}{q}+\frac{1}{r}\ge \frac{1}{2}\)を得る。

これについて、今までと同様の絞りこみを行う。

\(\frac{1}{2}\leq \frac{1}{q}+\frac{1}{r}<\frac{1}{q}+\frac{1}{q}=\frac{2}{q}\)

\(∴q<4\)

これと条件\(2<q\)から、整数\(q\)の値は\(q=3\)に絞られる。

あとは条件式と与式に\(p=2,q=3\)を代入することで、\(r=4,5,6\)が解に適することがわかる。

よって\(\underline{(p,q,r)=(2,3,4),(2,3,5),(2,3,6)}\)

※条件式の\(2\leq p<q<r\)が、\(p,q,r\ge 2\)となっており、\(p,q,r\)の大小関係がわからなかったら。

与式は対称式だから、例題のように\(2\leq p<q<r\)と自分で設定して、解が出たら自分で設けた制限を外す(順不同にする)、という方針でいきましょう。

画像引用:instagram.com

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