2017年06月17日更新

東大数学過去問解説 2015 理系 第3問 | グラフと回転体の体積

東京大学(理科-前期日程)(2015年版 大学入試シリーズ).jpg

「完璧」にこだわると破滅する

予備校や赤本の解答解説って、「完璧主義」なところがありますよね?

受験生的には超難しい問題でも「やや難」。ちょっと難しいと思っても「標準」。解説を読んでも、思いつきにくい解き方をさらっと書いていたり。よく自信を失っていました。

でも実際の入試では満点を取らなくてもいい、というか普通は取れるものじゃありません。実際、合格者平均点は50〜60点です。

ここでは合格者平均点を目指して、取るべきところ・取りたいところ・捨てるべきところを区別しつつ、「なぜ」その解答になるのかも含めて丁寧に解説していきます!

2015年東大理系数学は第1問と第3問以外でいかに取れるかの勝負

この年度の問題は第1問・第3問が答えやすく、ほとんどの受験生が満点レベルの答案を書けたことでしょう。その他の問題で20点以上稼げたかどうかが合否の分かれ目。

ということはこの問題は合格したいなら解けて当然のレベルです!細かい注意が必要とは言え、ごく基本的・典型的な問題なので確実に解き切りましょう。

速いに越したことはないですが、これを落としたら致命的なので時間をかけてでも完答したいところ。と言ってもさすがに35分以上はかけられないですね。(3)は(2)ができれば瞬時に分かるようなサービス問題なので、(1),(2)でそれぞれ10分程度、(3)で3〜5分を目標に解いてみてください。

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2015年東大理系数学 第3問 問題文

 \(a\)を正の実数とし、\(p\)を正の有理数とする。
 座標平面上の2つの曲線\(y = ax^p ~ (x > 0)\) と \(y = \log x ~ (x > 0)\) を考える。この2つの曲線の共有点が1点のみであるとし、その共有点を\(Q\)とする。
 以下の問いに答えよ。必要であれば、\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\frac{x^p}{\log x} = \infty\) を証明なしに用いてよい。
(1) \(a\)および点\(Q\)の\(x\)座標を\(p\)を用いて表せ。
(2) この2つの曲線と\(x\)軸で囲まれる図形を、\(x\)軸のまわりに1回転してできる立体の体積を\(p\)を用いて表せ。
(3) (2)で得られる立体の体積が\(2\pi\)になるときの\(p\)の値を求めよ。

2015年東大理系数学 第3問 解答・解説 〜計算ミスをなくす工夫を〜

(1) 「共有点が1点のみ」を数式化する

方針
2つの曲線がただ一つの共有点をもつということは、2つの曲線の式を連立させて\(y\)を消去した式:
$$ ax^p – \log x = 0 $$
が\(x>0\)(定義域)でただ一つの解\(x=q\)(\(Q\)の\(x\)座標)をもち、かつ左辺がその\(x\)以外において常に正または負であるということです。

言い換えると、\(y = f(x) = ax^p – \log x\)が\(x = q\)でのみ\(x\)軸と共有点をもつ(接する)ということです。

※2つの曲線の\(Q\)における接線が一致する(共通接線をもつ)という条件でも解けますが、今回は「共有点がただ1つ」という条件なので注意が必要です。\(y=ax^p\)が\(x>0\)で下に凸(\(y” >0\))、\(y=\log x\)が上に凸(\(y” >0\))ということを言っておかないと複数の共通接線をもつ可能性がありますからね。


\(C_1: y = ax^p, ~ C_2 = y = \log x\)とし、\(f(x) = ax^p – \log x ~ (x>0)\)とおく。

曲線\(C_1, ~ C_2\)がただ1つの共有点をもつとき、\(y = f(x)\)のグラフは\(x\)軸と1点のみで接する。この条件を調べる。

\(f(x)\)を\(x\)で微分すると、
$$ f'(x) = apx^{p-1} – \frac{1}{x} = \frac{apx^p – 1}{x} $$
より、\(f(x)\)についての増減表は次のようになる。
\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|}
\hline
x &0&\cdots&(ap)^{-\frac{1}{p}}&\cdots\\
\hline
f'(x) & &-&0&+\\
\hline
f(x) & &\searrow&f\left((ap)^{-\frac{1}{p}}\right)&\nearrow\\
\hline
\end{array}

また、\(\displaystyle\lim_{x \to +0}f(x) = +\infty\)であり、
\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}f(x) = \displaystyle\lim_{x \to \infty}a\log x \left(\frac{x^p}{\log x} –
\frac{1}{a}\right) = \infty\)が成り立つから、

未知のグラフの概形を議論するときは増減表と(端点がない・端点で収束しない場合は)極限を調べましょう。問題文に「\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\frac{x^p}{\log x} = \infty\) を証明なしに用いてよい」とあるのは、ここで使うためです。

\(y = f(x)\)が\(x\)軸と1点のみで接するためには \(f\left((ap)^{-\frac{1}{p}}\right) = 0\)であればいい。

$$ f\left((ap)^{-\frac{1}{p}}\right) = \frac{1}{p}+\frac{1}{p}\log(ap) = 0 $$より、$$\log(ap) = -1$$すなわち
$$ap = \displaystyle\frac{1}{e}$$

∴ \(a=\displaystyle\frac{1}{ep}\)であり、\(Q\)の\(x\)座標は、\(x = (ap)^{-\frac{1}{p}} = e^{\frac{1}{p}}\)

(2) まずは図を描いて、それから積分計算する

方針
典型的な回転体の体積計算ですね。

図を描いてどういった式にすればいいか判断するだけです。あとは気をつけて計算しましょう!


(1)より、曲線\(C_1, C_2\), \(x\)軸に囲まれる領域は下図斜線部分のようになる。

まずは図を描きましょう。その図が「なぜそのような積分計算をするのか?」の説明にもなりますし、図から幾何学的な性質が見つかり何かしら計算の工夫ができることもあります。(この問題では大した計算の工夫はできなさそうですが…)


2015_3_01
以下、\(q=e^{\frac{1}{p}}\)とする。

いちいち\(e^{\frac{1}{p}}\)と書くのは面倒です(何度も出てくるので)。記述の手間・計算ミスのリスクを最小限に抑えましょう!

求める体積を\(V\)とすると、
\begin{eqnarray}
V &=& \int_0^q \pi \left(ax^p\right)^2 dx ~ – \int_1^q \pi \left(\log x\right)^2 dx\\
&=& \pi a^2\int_0^q x^2p dx ~ – \pi\int_0^q (\log x)^2 dx
\end{eqnarray}
ここで、右辺第1項について

積分計算は分けてからしましょう。見直すときも楽ですし。
\begin{eqnarray}
\int_0^q x^{2p} dx &=& \left[\frac{1}{2p+1}x^{2p+1}\right]_0^q\\
&=& \frac{1}{2p+1}q^{2p+1}
&=& \style{color: red;}{\frac{e^{2+\frac{1}{p}}}{2p+1}} \tag{a}
\end{eqnarray}

右辺第2項について

\begin{eqnarray}
\int_1^q \left(\log x\right)^2 dx &=& \left[x(\log x)^2\right]_1^q – \int_1^q x\cdot \frac{1}{x}\left(2\log x\right) dx
\end{eqnarray}
\(\log x\)が含まれる関数を積分するときはパターンとして
\begin{eqnarray}
\int \log x~ dx &=& \int (x)’\log x~ dx\\
&=& x\log x ~- \int x (\log x)’ dx
\end{eqnarray}
の部分積分を思い出しましょう。もちろん100%通用するわけではないですが、まずはこれを試してみるといいです。
\begin{eqnarray}
\style{color: white;}{\int_1^q \left(\log x\right)^2 dx}
&=& q(\log q)^2 – 2\left(\left[x\log x\right]_1^q -\int_1^q x\cdot\frac{1}{x} dx\right)\\
&=& q(\log q)^2 – 2\left(q\log q -q+1\right)\\
&=& \style{color: blue;}{e^{\frac{1}{p}}\cdot\left(\frac{1}{p}\right)^2 – 2 \left(e^{\frac{1}{p}}\cdot\frac{1}{p} – e^{\frac{1}{p}}+1\right)} \tag{b}
\end{eqnarray}

\((a),(b), a = \frac{1}{ep}\)より、

\begin{eqnarray}
V &=& \pi \left(\frac{1}{ep}\right)^2\left(\style{color: red;}{\frac{e^{2+\frac{1}{p}}}{2p+1}}\right) – \pi\left\{ \style{color: blue;}{e^{\frac{1}{p}}\cdot\left(\frac{1}{p}\right)^2 – 2\left(e^{\frac{1}{p}}\cdot\frac{1}{p} – e^{\frac{1}{p}}+1\right)}\right\}\\
&=& \frac{\pi e^{\frac{1}{p}}}{p^2(2p+1)}\bigl\{1 – (2p+1)+ 2p(2p+1) – 2p^2(2p+1)\bigr\} + 2\pi\\
&=& \frac{\pi e^{\frac{1}{p}} \left(2p^2-4p^3\right)}{p^2(2p+1)} + 2\pi\\
&=& \frac{2 \pi e^{\frac{1}{p}} (1-2p)}{2p+1} + 2\pi
\end{eqnarray}

∴ 回転体の体積は \(V = \displaystyle 2\pi\left\{\frac{e^{\frac{1}{p}} (1-2p)}{2p+1} + 1\right\}\)

(3) (2)の結果を使う。ただそれだけ

方針
これはもう「おまけ」みたいな問題ですね。(2)ができていたら1分もかからずにできるのではないでしょうか?
\(V = 2\pi\) を \(p\) について解くだけです。

\(V = 2\pi\)となる条件を求める。

$$ 2\pi\left\{\frac{e^{\frac{1}{p}} (1-2p)}{2p+1} + 1\right\} = 2\pi $$
すなわち、
$$ 2\pi\frac{e^{\frac{1}{p}} (1-2p)}{2p+1} = 0 $$
よって\(1-2p = 0\)
∴ \(p=\frac{1}{2}\)

自分の中で典型的な問題の対処法を確立する

冒頭でも言いましたが、これは合否に関わらずほとんどの受験者が解けた問題です。計算ミスは絶対に避けたい。

(2),(3)はもはや問題文が「こういう式を立てて計算しろ」と指示を出してくれているようなもの。

(1)は問題文の条件を少し言い換えて数式かする必要がありましたが、それも特に「ひねり」はありません。

だからこそ解くスピードと計算の正確さで差がつきます。日々の演習量が物を言いますね。

(1)の方針では2通りの解き方の案を出しましたが、こういった典型的な問題に対してはどちらを使うかその都度迷うのではなく、自分の中で「これだ」というものを決めておきましょう。

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