2017年04月29日更新

問題形式への慣れが最大の関門。現役合格するための東大日本史戦略

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日本史だけを武器に受験を制そうとするな

日本史を学ぶことは、多くの文系受験生にとって楽しいものです。歴史というストーリーを眺めて、用語を詰めていけばどんどん得点力が伸びますから。しかし、その楽しさにかまけて英語や数学の対策をおろそかにしたり、さらには英語や数学での得点力不足を日本史などの社会科で補おうとするのは危険ですよ

以下、その理由を述べます。

多くの受験生は、日本史の本格的な受験勉強に早くて高2、遅いと高3から取り掛かります。つまり、(たまにいる「歴史マニア」はさておき)日本史対策のスタートラインは比較的平等なのです。英語は英語圏で生活した経験がある人にとって有利だったり、数学は早くから独習を進める人が比較的多かったりしますが、日本史に関しては高2~高3から勉強に着手したとしても、さして不利を感じることはないでしょう。

そして、日本史は基本的にやればやるほど伸びます。なかなか英語や数学の得点力が向上せずに悩んでいる受験生にとっては、日本史の勉強がオアシスのように感じられることもあるでしょう。同じスタートラインに立ったうえで、他よりも多くの時間を日本史に費やせば、他を一時的に追い越すことができて爽快ですから。

しかし、いくら伸びやすいとはいえ、日本史の得点力向上にもいつか頭打ちがきます。東大日本史であれば40点前半。ここから伸ばしていくには相当の勉強時間とセンスが要ります。伸ばしたとしても、せいぜい45点前後が関の山。英語や数学にかけられたはずの時間をたっぷり日本史に回して、伸びる得点が5点やそこらなのです。

他を追い越すよりも他に追い越されない対策を。現役合格するための東大文系国語戦略の記事では、似た理由で国語の対策に時間をかけすぎることの危険性を述べましたので、こちらも参考にしてください。

さらに、やればやるほど伸びる日本史において、多くの人はそれなりの点数を取ってきます。頭打ちである40点程度に、大半の受験生は追いつくのですから、かつて日本史の成績で一時的に追い越したことなど何の意味もなく、その間英語や数学をおろそかにしてきたツケが回ってきます。これを先に「危険」と表現しました。

そうだとしたら、日本史などの社会科は「入試本番までに40点程度という頭打ちに到達しさえすれば良い」という方針を立てた方が戦略的だと思いませんか。二次で40点を確保するために必要な時間・労力を見据えたうえで、現時点でどのくらいの時間を費やすべきか、よく考えて対策を進めていきましょう。これこそ、「他を追い越そうとするより、他に追い越されない」基本戦略であるとともに、よくあるフレーズを借りれば「合格から逆算する」戦略です。

配点・試験時間と目標点

文系の場合、各科目の配点・試験時間は以下のようになっています。

科目名 配点(点) 試験時間(分)
文系国語 120 150
文系数学 80 100
社会 120 150
英語 120 120

先に述べたように、受験生は社会科で他を追い越そうとするより、社会科で他に追い越されないような戦略をとるべきです。一般的な見解では、社会2科目で各40点、計80点を確保すれば無難とみられています。

これ以上の点を取ることを決して否定はしませんが、たとえば計95点を目標にするのは、それが現実的なゴールでない限り非効率的です。他の科目、たとえば英語が苦手だからといって、社会科でその埋め合わせを図るのはなおさら危険。

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入試の解き方の実際

東大日本史は、4つの大問からなります。各15点で、合計60点満点といわれています。

第1問は、主に古代分野からの出題。与えられた資料文をうまく解釈しつつ、事前知識とすり合わせる力が試されることが多いです。

第2問は、主に中世分野からの出題。資料文が、一見教科書のどの部分を扱っているのかわからない問題が多く、慣れていないと面食らいがち。

第3問は、主に近世分野からの出題。日本で近世といえばほとんど江戸時代です。江戸時代は様々な角度からの見方をもっておくことが必要で、事前の勉強量、それに質が試されるところ。

第4問は、主に近代分野からの出題。ここは事前知識の勝負ですね。近代分野は比較的対策が手薄になることが多いので注意しましょう。

4つのうち、どこの大問が得点しやすいというのは決まっておらず、受験生の得意分野や各年度の問題群によりけりなので、どこから解き始めるのが無難といった一般論はありません。

ただし、大問ごとの時間配分には注意しましょう。事前知識とうまく接続できた大問の解答作成は筆が乗りがちなんですよね。仕方のないことですが、例えば第1問がうまく書けそうと思ったからといって「珠玉の解答」を作ろうと時間を割きすぎてしまい、他の大問を咀嚼する時間が足りなくなるといった事態へ陥らないように

また、東大入試では社会2科目を合わせて150分の試験時間が与えられ、150分をどう2科目に配分するかは自由です。日本史に苦手意識があるならば多めの時間を配当するといった戦略もありえますが、ここでは半分の75分を日本史に費やすものとして、入試の解き方の実際をシミュレートしてみましょう。

試験が始まったら数学と同様全問に目を通し解けそうな大問を探す

東大日本史は大問が4つあり、時代が後になるほど知識偏重の傾向があるものの、設問形式上の難易度は平等。この形式、東大文系数学に似ていると思いませんか? 試験開始の合図があったら、数学の試験と同様、まずは全問に目を通して最初に取りかかる問題を決めましょう

最初に取りかかるべきは、なんとなく解けそうだと思った大問です。数学よりはまだわかりやすいでしょうが、一見するだけで自分にとって解きやすい問題かなんて判断できるはずもありませんよね。解けそうだと思って手をつけてみたは良いけれど、いざ資料文を読んでると何が解答に求められているのかわからず手が止まる。よくあることです。

数学と異なり、日本史はわからない大問を白紙で提出するようなことはないと思います。手をつけた問題に多少は思考時間を割いても良いでしょうが、日本史全体に費やす75分を大問数で割ったものに迫る開始15分までにケリがつかないようであれば、他の大問に移るのも選択肢のうちに入ります。

解く問題を決めてから解答執筆に至るまでに踏むべきプロセス

全大問に目を通し、解く大問を決めたとしましょう。

東大日本史は問題形式が独特で、問題文とともに資料文が用意されています。慣れていないとその資料文をどう扱えば良いのか、そもそも解答作成に関わるものなのか判断しかねるでしょう。資料文は、自分の解答方針が正しいか確認するとともに、解答にどのような要素を盛り込むべきかのヒントとして使うものです

だから、出題者が求める解答に近いものを書きたければ、資料文の咀嚼・分析は必須作業となリます。

まず、問題文を読み、大まかにどの世紀・分野の内容が問われているのか、事前知識を思い起こしながらあたりをつけます。とはいえ事前知識だけで解答作成に入ってしまうと、出題者が求めていることと離れた自己満足に陥ってしまいがちです。次に、資料文を分析していきます。

資料文を、一語一語ていねいに読み、問題文に関係すると思った要素をマーク。自分の解答方針を修正したり、適宜資料文の語句を借用しながら、解答表現を洗練させます。

こうして、問題文と資料文を読み尽くしてから、解答執筆に入ります。解答字数は60字〜90字に指定されていることが多いです。解答方針が立たない受験生にとってはやや多く、うまく問題文や資料文を読解できた受験生にとっては少なめの字数といえます。簡潔な表現で字数を無駄にしないことを心がけましょう

例えば、対比で用いる「しかし」や「〜〜に対し」といった接続語は「一方」に置き換えることで1文字節約できます。また、4文字の述語は、たいていの場合3文字で同義のものに言い換えることができます。「衰退した」であれば「衰えた」、「増加した」であれば「増えた」といった風に。このように表現を簡潔にし、解答に必要な要素を不足なく含めることが肝要です。

もう一方の社会科目によっては日本史の解答中に他の科目に移ることも可能

社会150分のうち日本史に半分の75分を割くと決めましたが、日本史を解き始めたら75分間日本史を解きつづけなければいけない決まりはありません。

例えば、東大世界史は第1問が骨のある大論述形式である一方、第2問・第3問は比較的事前知識の運用だけでなんとかなる軽めの形式です。軽めの問題から片づけた方がタイムマネジメントを間違えません

各大問の回答に必要な時間は、

東大世界史の第2問、第3問 < 東大日本史、東大地理の各大問 < 東大世界史の第1問

と表現できます。もし日本史・世界史選択であれば、まず世界史の第2問・第3問を解いてから一旦日本史に移るのもありえますし、日本史・地理選択であっても、日本史の解答作成が詰まってしまったら、一旦地理の問題に移ってみるのもOKです。

時期別基本戦略

高2のうちは高校の授業を勉強の中心に据え英数の自習時間を確保する

多くの高校生にとって、高2のうちは日本史の大学入試対策はほぼ手つかずです。未知の知識を自分で参考書を買って補おうとしても理解が至らないなど非効率的なので、とりあえず学校の授業に追いつくことを心がけましょう。学校の定期試験のさい、当該範囲の用語暗記などの対策をサボらずに行うことが、高3に入って本格的に入試対策を進めるさいに効いてきます。高2の時点で一度暗記作業をやっておくと、高3ではそれを思い出す作業がテキパキ進むので。

また、高2のうちに無理して通史を終える必要もないでしょう。通史に興味があり、英数に多少余裕があるならば息抜きがてらやってみても良い、程度に考えておきます。

とかく、高2は英数の基礎を固めることに徹するべきです。日本史は定期試験対策をしっかり行えばそれで十分ですので、普段の自習時間は無理に日本史をやらず、英数に回しましょう。日本史対策は高3から本格化させても間に合いますので、焦る必要はありません。

過去問への慣れに時間を要する日本史は高3の夏前までに通史を終える

東大日本史は、東大世界史や東大地理と比べ、問題へのアプローチの仕方が独特です。東大世界史や地理はセンター対策の延長線上に位置づけることも可能ですが、東大日本史はセンター日本史とまったく異質で、センターで問われる細かい用語知識を必要としない一方、出題者の要求を汲み取った記述解答をその場で構築しなければいけません。少なくとも、知識を完璧にしておけば過去問にもすぐ順応できるといったことはありえないでしょう。

さらに、東大日本史では頻出であるものの、教科書ではそこまで強調されていない通史の見方や知識が存在し、これも過去問演習を通じてでないと身につきません。

センター日本史対策と、東大日本史対策は別個で行うのが普通。すると、東大日本史の過去問演習は世界史や地理よりも早期に始めなければいけないということになります。センター日本史対策にも一定の時間を割かなければいけないので。

最低でも高3の9月からは過去問をガンガン解いていきたいので、夏休みまでに戦後までの通史を終えることをお勧めします。戦後までですよ。学校の授業は最後まで戦後に突入しないこともありますが、だからといって疎かにしてはいけません。現に、2016年度の東大日本史の第4問では戦後範囲からも出題がありました。

過去問は自分で解答を作成し先生に添削してもらうか解説を徹底的に読みこむ

東大日本史は知識のひけらかしで解けることがめったにありません。その場で「出題者の要求を押さえ」「論理的な整合性が保たれ」「歴史認識に誤りがない」解答を作成しなければいけないのです。

このうち、歴史認識に誤りがないかは教科書や参考書を参照すれば独力で確認できますが、とくに論理的な整合性については自分だけで添削するのに苦労します。自分の文章は良さげに見えてしまうのが世の常なので。だから、学校や予備校の先生などに解答を客観的に見てもらうことは大変有効です。

とはいえ、必ずしも周りに添削してくれる人間がいるとも限りません。自分の力だけで対策しなければいけない場合、例えば赤本の解答・解説を徹底的に読み込み、自身の解答の添削・修正を試みましょう。そこには、解答プロセスや、採用するべき論理が事細かに書かれているはずです。

入試本番までに25年分解き終わるのが理想ですね。

参考書・問題集

詳説日本史B (山川出版社)

日本史の教科書は山川のものをとりあえず使えば良いのではないのでしょうか。出題者である東大の教授が一部執筆に関わっているうえ、改訂も積極的に行われているので、入試の実際に近いといえますからね。

教科書の使い方に関しては日本史・世界史の教科書は用語暗記のためではなく通史の復習と論述対策に使うべきの記事も参考にしてください。用語暗記のために使うのは本当にもったいないですよ。

東大の日本史25カ年[第5版] (難関校過去問シリーズ)

過去問演習のさいには市販されている赤本を用います。日本史の赤本は、駿台の日本史講師としても有名な塚原哲也氏の著書です。解答だけでなく、東大日本史で頻出の知識事項や、解答プロセスをはじめとした方法論も載っていますので、適宜ノートにまとめながら自分のものにしていきましょう。

中学から使える 詳説日本史ガイドブック 上・下

中学から使える、とありますが東大対策に有用です。教科書の行間を埋めるような知識事項、東大日本史でも出題される視点が盛り込まれており、通史の補助のみならず、論述対策として使うことができます。

赤本の解説だけでは不十分であり、塾や添削してくれる先生に恵まれていない場合は頼りになるでしょう。昨年出版されたばかりですが、今後知名度がどんどんあがっていくのではないでしょうか。

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