2017年04月23日更新

入試問題の実際から逆算する戦略が試される。現役合格するための東大世界史戦略

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世界史だけを武器に受験を制そうとするな

世界史を学ぶことは、多くの文系受験生にとって楽しいものです。歴史というストーリーを眺めて、世界史用語を詰めていけばどんどん得点力が伸びますから。しかし、その楽しさにかまけて英語や数学の対策をおろそかにしたり、さらには英語や数学での得点力不足を世界史などの社会科で補おうとするのは危険ですよ

以下、その理由を述べます。

多くの受験生は、世界史の本格的な受験勉強に早くて高2、遅いと高3から取り掛かります。つまり、(たまにいる「歴史マニア」はさておき)世界史対策のスタートラインは比較的平等なのです。英語は英語圏で生活した経験がある人にとって有利だったり、数学は早くから独習を進める人が比較的多かったりしますが、世界史に関しては高2~高3から勉強に着手したとしても、さして不利を感じることはないでしょう。

そして、世界史は基本的にやればやるほど伸びます。なかなか英語や数学の得点力が向上せずに悩んでいる受験生にとっては、世界史の勉強がオアシスのように感じられることもあるでしょう。同じスタートラインに立ったうえで、他よりも多くの時間を世界史に費やせば、他を一時的に追い越すことができて爽快ですから。

しかし、いくら伸びやすいとはいえ、世界史の得点力向上にもいつか頭打ちがきます。東大世界史であれば40点。ここから伸ばしていくには相当の勉強時間とセンスが要ります。伸ばしたとしても、せいぜい45点前後が関の山。英語や数学にかけられたはずの時間をたっぷり世界史に回して、伸びる得点が5点やそこらなのです。

他を追い越すよりも他に追い越されない対策を。現役合格するための東大文系国語戦略の記事では、似た理由で国語の対策に時間をかけすぎることの危険性を述べましたので、こちらも参考にしてください。

さらに、やればやるほど伸びる世界史において、多くの人はそれなりの点数を取ってきます。頭打ちである40点に、大半の受験生は追いつくのですから、かつて世界史の成績で一時的に追い越したことなど何の意味もなく、その間英語や数学をおろそかにしてきたツケが回ってきます。これを先に「危険」と表現しました。

そうだとしたら、世界史などの社会科は「入試本番までに40点という頭打ちに到達しさえすれば良い」という方針を立てた方が戦略的だと思いませんか。二次で40点を確保するために必要な時間・労力を見据えたうえで、現時点でどのくらいの時間を費やすべきか、よく考えて対策を進めていきましょう。これこそ、「他を追い越そうとするより、他に追い越されない」基本戦略であるとともに、よくあるフレーズを借りれば「合格から逆算する」戦略です。

配点・試験時間と目標点

文系の場合、各科目の配点・試験時間は以下のようになっています。

科目名 配点(点) 試験時間(分)
文系国語 120 150
文系数学 80 100
社会 120 150
英語 120 120

先に述べたように、受験生は社会科で他を追い越そうとするより、社会科で他に追い越されないような戦略をとるべきです。一般的な見解では、社会2科目で各40点、計80点を確保すれば無難とみられています。

これ以上の点を取ることを決して否定はしませんが、たとえば計95点を目標にするのは、それが現実的なゴールでない限り非効率的です。他の科目、たとえば英語が苦手だからといって、社会科でその埋め合わせを図るのはなおさら危険。

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入試の解き方の実際

東大世界史は、3つの大問から成ります。

第1問は、いわゆる大論述問題。600~800字の論述問題が課されます。

第2問は、いわゆる小~中論述問題。60~120字程度の論述問題が数問出題されます。たまに短答問題が混じることもあります。

第3問は、一問一答が10問というのがここしばらくのトレンドです。

第2問と第3問は教科書に載っている基本知識で十分対応可能なので、満点に近い得点を目指し、第1問で失点を少しでも防ぐという考え方が一般的ですし、賢いと思います。大論述に大した得点は見込めませんので

東大入試では社会2科目を合わせて150分の試験時間が与えられ、150分をどのように2科目に配分するかは自由です。ここでは半分の75分を世界史に費やすものとし、試験時間中にどのように解き進めれば良いか、シミュレーションしてみましょう。

まずは第2問と第3問に取り掛かり確実な得点を増やしていく

試験が始まったら、第1問(大論述)の本格的な解答作成はとりあえず保留し、第2問と第3問へ移るべき。なぜなら、大論述問題の解答に必要な時間は、問題をぱっと見ただけでは未知数であり、大論述から取り掛かってしまうと確実に得点できるはずの第2問や第3問に手が回らなくなる危険が生まれるからです。

第2問と第3問は、事前知識の運用が大きなウエイトを占めます。できれば合わせて20分ほどで片づけたいところです。

第2問と第3問が片付いたらもう片方の社会科目に移るのも一手

東大世界史の第2問と第3問は、東大日本史や東大地理と比べても解答作成に苦労しないので、試験開始とともに取り掛かるのに向いています。一方、東大世界史の第1問は、東大日本史や東大地理を含めても、最も回答に時間を要する大問です。

つまり各大問の回答に必要な時間は、東大世界史の第2問、第3問 < 東大日本史、東大地理の各大問 < 東大世界史の第1問、と表現できます。

この順番に解こうと考えるならば、試験開始とともに取り掛かった東大世界史の第2問と第3問を片づけたら、もう一方の科目に移るというのも選択肢に入ります。世界史を解き始めたら75分世界史に費やさなければいけないといった決まりはないので。

第1問はいきなり書き出さず解答方針をじっくり吟味したうえで書く

事前知識をむやみにひけらかすだけでは、600字を超える解答を論理的に構成することは難しいです。解答の段取り、指定語句の使い方を見据え、解答のオチまで事前にまとめてから書き出した方が、結果的に解答時間を省くことができます

とはいえ600字も筆記するのにはそれなりに時間を要しますので、事前準備に20分、回答に30~40分が目安でしょう。

余った時間で、自分の書いた論述を読み直します。一気に600字も書けばどこかに文法・論理構成上のほころびがあって当然。書きたいことがしっかり採点官に伝われなければ意味がありません。600字を埋めただけで自己満足に終始してはいけませんよ。校正作業はほとんど必須と考え、一定の時間を確保しましょう。

とりわけ、問われていることに答えることができているか、問われていない余計な知識をひけらかしていないかをチェックするべきです。

時期別基本戦略

高2のうちは高校の授業を勉強の中心に据え英数の自習時間を確保する

多くの高校生にとって、高2のうちは世界史が初修の段階です。未知の範囲を自分で参考書を買って進めようとしても理解が至らないなど非効率的なので、とりあえず学校の授業に追いつくことを心がけましょう。学校の定期試験のさい、当該範囲の用語暗記などの対策をサボらずに行うことが、高3に入って本格的に入試対策を進めるさいに効いてきます。高2の時点で一度暗記作業をやっておくと、高3ではそれを思い出す作業がテキパキ進むので。

また、高2のうちに無理して通史を終える必要もないでしょう。通史に興味があり、英数に多少余裕があるならば息抜きがてらやってみても良い、程度に考えておきます。

とかく、高2は英数の基礎を固めることに徹するべきです。世界史は定期試験対策をしっかり行えばそれで十分ですので、普段の自習時間は無理に世界史をやらず、英数に回しましょう。世界史対策は高3から本格化させても間に合いますので、焦る必要はありません。

高3の夏休みまでに通史を終え秋からの過去問演習へスムーズに接続する

多くの高校が採っているカリキュラムでは、高3の夏までに世界史の通史が戦後まで終わりません。それを理由に受験生は戦後の範囲をないがしろにしがちなのですが、2016年の東大世界史の第1問は戦後のみが範囲なので、通史を最後まで終えていないと太刀打ちできませんよ

高3は、高2に比べて世界史に割ける時間も増えるので、適宜自分で通史を進めると良いでしょう。19世紀くらいまでの範囲を学校の授業で押さえておくと、あとは自習でも積み上げが可能だと思います。上で述べたように、戦後範囲も含む過去問演習をスムーズに行えるよう、夏休み中に通史を自分で完結させることを目標に。

また、一問一答集を用いた用語暗記は、通史を終えていないうちから行うことができますので、頃合いを見て着手しましょう。東大世界史は、第2問や第3問でいかに失点を防ぐかが合否のカギとなり、これらは論述の体をとった知識問題が大半。愚直な暗記作業を舐めてはいけませんよ

センター試験対策は東大世界史の第2問・第3問対策にもなる

秋からは通史の確認に加え、論述問題を赤本などで解いていくと思いますが、センター試験の影がちらつく12月中旬あたりから論述対策は一旦ストップ。用語暗記を中心に、センター対策にウエイトを置くことをおすすめします。

「東大はセンター試験の配点が少ないので、論述問題よりもセンター対策を優先するのは戦略的に間違いでは?」と考える受験生もいるかもしれません。しかし、東大世界史は事前知識の運用を間違えないだけで30点は軽く確保できます。つまり、センター試験対策が東大世界史の部分的な対策に直結するのです。

センター世界史の問題演習は、各時代の知識をうまく体系化するのに適しているうえ、東大世界史で問われる知識はセンターレベル(か、少し上くらい)。知識詰めとしてのセンター対策を真面目にやって損することはありません。

参考書・問題集

世界史B一問一答 完全版 2nd edition (東進ブックス 大学受験 高速マスター)

用語暗記は格好つけずに一問一答集で済ませるのが効率的です。一問一答集はさまざまなものが市販されていますが、東大受験生には東進ブックスのものをおすすめします。理由は、用語をフレーズの中で覚えることができ、フレーズを目に焼きつけておけば第3問のほか、第2問対策にもなるからです。

ただし、東大受験生には必要ない細かな知識まで載っていますので、適宜取捨選択して使いましょう。

これならわかる!ナビゲーター世界史B 1~4

通史の未習の部分を自分で進めたい場合、『ナビゲーター世界史』がおすすめ。しつこいくらい丁寧にストーリーが説明されていますので、事前知識がなくても労せず読み進めることができます。

ただし、これだけでは補うべき知識が不足しますので、あくまで高2や高3に上がりたての受験生が、未習の通史を一周するための参考書と捉えましょう。

荒巻の新世界史の見取り図 上・中・下巻―大学受験 (東進ブックス 名人の授業)

『ナビゲーター世界史』と同様、通史を取り扱う参考書です。しかし、『ナビゲーター世界史』と比べると込み入った内容が多く含まれており、通史を終えた受験生が読むと新しく斬新な視点を得られるようなつくりになっています。

通史をただ教科書に沿って学ぶだけでは東大世界史の大論述にすんなり接続できないこともありますので、『見取り図』を読んで通史に対する見方を深めておくことは有効です。

世界史論述練習帳new

第2問の論述問題は事前知識の運用で解けますが、では具体的にどのようなテーマに沿って知識をまとめていけば良いのか? という受験生の疑問を解消するのが『世界史論述練習帳』です。本書は付録の「60字論述問題テーマ」が秀逸で、各時代ごとの典型的な短めの論述テーマを知ることができます。

ただし、解説が十分ではありませんので、本書の解答に頼りすぎず、教科書や他の参考書を用いて自分で解答を作成し、ノートにまとめてみると良いでしょう。

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