2016年09月23日更新

『数式と結び付いた物理的イメージを授業中でつかむ』東京大学理科三類合格者の高3の物理の授業の受け方

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合格者のプロフィール

年度 2016年(現役)
進学 東京大学理科三類
合格学部
  • 東京大学理科三類
出身高校 茨城県立土浦第一高等学校
センター試験
英語
190点
国語
166点
数学1A
90点
数学2B
95点
物理
95点
化学
96点
地理
74点

―高3の物理の授業(演習を含む)で扱った教材を全て教えてください。

教科書は啓林館の「物理」、問題集は実教出版の「エクセル」と数研出版の「物理重要問題集」、そしてセンター試験対策用のものを3冊ほど利用していました。

ただし授業では、先生方が作成した授業用のプリントを利用していました。1年間で100枚は優に超えていましたね。

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―高3の物理の授業の「予習の仕方」について具体的に教えてください。

実は、物理の予習はほとんど行っていませんでした。強いて言うなら、授業前に教科書をパラパラ読んだ程度です。

というのも、タイムマネジメントが非常に重要になってくる高3の時期になると、予習よりも授業後に問題演習を重ねて復習をしたほうがよっぽど効率よく学習できると感じていたからです。実際、これは入試を終えた今でも正しかったと感じています。

僕の場合、あくまでも学校のカリキュラムに沿って授業を受け、3年の11月に教科書の内容を全て理解しました。

―高3の物理の「授業の受け方」で意識していたことを具体的に教えてください。

ほぼ予習をしていない状態で授業を受けていたので、授業中に100%の理解をするように努力していました。

その時に意識していたのは、「数式と結び付いた物理的イメージを持つこと」です。これは、物理で最も大切なことの1つでもあります。

1つだけ例を挙げましょう。力学の範囲で、2物体が衝突する際の速度の変化を表す式は次のように表されます。
\[
e=-\frac{v^{’}_{1}-v^{’}_{2}}{v_{1}-v_{2}} (eは反発係数)
\]
このままではなかなか扱いにくいのですが、言わんとしていることは次のような意味です。(ただし、\(V=|v_{1}-v_{2}|\)とします)

「物体1から見て物体2が速さ\(V\)で近づいてくるとき、衝突した後は物体1から見て物体2が速さ\(eV\)で遠ざかる」

この認識があるだけで、衝突の問題はかなり解きやすくなります。実際、このことを知っていないと計算量が膨大になってしまう東大の過去問があります。

では、この物理的イメージをつかむにはどうすればいいのでしょうか?

1番大事なのは、授業で先生が話す内容をしっかり聞くことです。

物理の教科書の表現は厳密すぎる故に、分かりにくいものが多いです。そのため、教科書の内容をかみ砕いて表現し直す先生方のコメントは理解を助けるうえでの宝の山であることが多いのです。

先生が言ったちょっとした内容が深い理解をもたらすことはよくあります。先生の言うことにしっかり耳を傾けましょう。

―高3の物理の授業の「復習の仕方」について具体的に教えてください。

まず、復習をするうえで一番重視したのが公式の導出を自力でできるようにすることです。

例えば、ドップラー効果の公式
\[
f_{’}=\frac{V-u}{V-v}f
\]
は、試験頻出の重要公式です。その一方で、導出過程がそのまま試験でも出されることがよくあります。

東大の過去問を見ると、公式そのものでは無く公式の導出に用いる考え方を応用させる問題が多いことが分かります。ここからも公式を導くプロセスの重要性が分かるでしょうか。

そして、公式の導出が自力でできるようになったら問題演習に移ります。授業で習った範囲の問題をどんどん解いていきます。

このときの自分の勉強法は以下のようなものでした。

  1. まずは、自分の分かる範囲で問題を解く。場合によっては、教科書なども参考にする。
  2. 分からなかったら模範解答を少しずつ見ていく。解法が分かった時点で、続きを自分で解いていく。
  3. 全く歯の立たない問題は、本解答をよく眺めて理解する。解答の方針、表現の仕方、計算のポイントなど全て「分かった!」と思ったら、模範解答を閉じて自分の言葉で解答を作り直す。ペンが止まるところがあったら、それは自分の理解が不十分なところ。再度模範解答をちょこっと見て、解答を作っていく。

この「自分の言葉で解答を作り直す」というのがとても大切なところです。模範解答の書き写しばかりやっていると得るものは小さいです。

模範解答を読むとき、自分の言葉で解答を作り直すときも、頭をフル回転させましょう。

最終的には重要問題集レベルの問題は問題を見ただけで方針がすぐに分かり、ペンを止めずに答案を書き切ることが出来るレベルまで演習を重ねました。

―高3の物理の授業は志望校の物理の入試に役立ったと思いますか?その理由も含めて教えてください。

間違いなく入試に役立ちました。授業で身に付けたのは、難問を解く力ではなくて物理の基本的な事項を深く理解する圧倒的基礎力です。そのため、入試本番での緊張感の中であっても公式などを急に忘れてしまったりする可能性は低く、実践的なスキルだったと言えます。

一番決定的だったのは、2016年度の東大入試で出題された物理の交流の問題です。この年まで東大は交流を出題したことがほとんどなく、「東大は交流を出題しない」という噂がちょうど広がっていたところの盲点を突く問題でした。

東大の対策ばかりしてきた人にとってはちょっと苦戦する問題だったかもしれませんが、僕はちょうど10月の秋に交流の分野を学び授業で公式の導出も理解したばかりだったのであまり苦労せず解くことが出来ました。

―大学受験を終えてみて物理の授業をより効果的に活用するにはどうすれば良いと思いますか?その理由も含めて教えてください。

授業を効果的に活用するには、予習よりも復習を重視して、授業で100%の理解をするのが良いと思います。これは特に公立高校生にお勧めしたい方法です。

公立高校は理科の進行が遅いとよく言われています。実際、教科書が全て終了するのは3年生の11月あたりで、東京の有名私立校と比較すると1年も差があります。模試でも習っていない範囲が出題され、点数がどうしても低くなりがちです。

この状況を心配して、塾で先取り学習を行う人が多くいるのも事実です。では、先取り学習は本当に必要なのでしょうか?

僕の経験からすると、先取り学習をする必要はありません!

公立の進学校のカリキュラムは、部活などで勉強時間の足りない公立高校生が東大レベルの難関大学入試で太刀打ちできるようにうまく組まれているはずです。

まずは実力養成に時間のかかる基幹3教科を1,2年のうちに学習します。そして、追い込みの効く理科を受験直前期に最小限の労力で入試レベルまで仕上げる順序になっています。

このようなカリキュラムだと、模試の成績は悪くなりがちです。ですが、習ってない範囲の問題が出るのを嘆くのではなくて、既習範囲の問題を完璧に解き切ることに意識を向ける方がいいでしょう。そうすれば模試の平均点は余裕で上回ることができるはずです。

でも、「そんなに進行が遅くて演習の時間が取れるの?」と心配する人もいるかもしれません。

確かに僕もかなり心配しましたが、授業が全部終了してからの最後の3か月でラストスパートをかけたら東大受験で戦える学力がしっかりついたのも事実です。

逆に先取り学習をしてしまうと、授業と塾でどうしても重複がでてしまい効率が悪いです。(ただでさえ勉強時間が足りないのに…)理科を予習する時間があったら、既習範囲の演習をするか英数国の勉強をした方が長期的な視点では効率が良くなると思います。

―最後に受験生に学校の物理の授業に関するアドバイスをお願いします!

3年生ともなると、受験勉強に夢中になり授業をどうしても軽視しがちになってしまいます。ですが、もし授業でまだ教科書の内容を扱っているのであれば絶対に軽視はできません。

授業を活用した勉強法は、小手先の応用力よりもずっと効果を発揮する圧倒的基礎力をつけるうえで欠かせません。皆さんが、学校の授業をうまく利用して限られた時間の中で実力を付けていくことを願っています。