2016年09月21日更新

『メンタルコントロールが合格への鍵』東大理科三類合格者の数学の解き方

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合格者のプロフィール

年度 2016年(現役)
進学 東京大学理科三類
合格学部
  • 東京大学理科三類
出身高校 茨城県立土浦第一高等学校
センター試験
英語
190点
国語
167点
数学1A
90点
数学2B
95点
物理
95点
化学
96点
地理
73点

―2016年度東京大学理系数学で合否のカギを握ると思った設問や、問題全体に対する印象を教えてください。

今年は例年と比較して全体の難易度が下がりました。つまり、合格するには完答しないといけない問題が増加した年と言えます。

具体的には、第1問(不等式・微分)、第3問(面積の最小値)は完答すべき問題です。

差がつきやすいのは第2問(確率)と第4問(複素数平面)です。いずれも本質を見抜いてしまえば解き切れる問題なので、なんとか粘り強く取り組みたいところ。

理科三類レベルなら、第6問(体積)がもっとも差のつく大問かもしれません。

そうはいってもすべてうまくいくとは限らないのが本番の怖さ。僕は本番で第5問(整数)を除いて5完したつもりになっていましたが、実際には第2問の解法を根本的に間違えていました。

開示得点を見たところ、結果は75点に留まっていました。結果的には、難易度の高い第6問を最後まで解き切れたからこそ合格できたのではないかと思います。

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―東京大学理系数学の解く順番・時間配分についてその順番で解く理由も含めて教えてください。

僕はまず設問順に取り組むタイプでした。

ただし、最初に各大問にかける時間は3分間だけです。3分後に方針が立っていたらそのまま解き進めますが、分からなかったらすぐに次の設問へ行きました。

このありふれたように思える解き方が、本番では重要になってきます。入試本番では、完答できている問題がある状態で解き進めると精神的にはかなり楽になります。

逆に、解けた問題が全くないのに同じ問題に拘泥し続けるのは避けるべきです。焦りがミスをうみ、ミスが焦りをうむ最悪のパターンにはまりかねないからです。

普段だったらやらないようなミスを避けるためにも、まずは「1問は完答できた!」という安心感を得るのが本番では本当に大切になってきます。

実践的には、まず典型問題など解法の方針が定まりやすい問題を解きましょう。このときは最初の3分の見極めの時間も含めて、15分以内で解きたいところです。

試験時間は全6問で150分なので、普通に考えれば1問あたりかけられる時間は25分程度です。しかし、25分というのは東大レベルの問題を解く上では案外短いもの。

この「15分以内」という時間は、試験後半に難しい問題を落ち着いてゆっくり解けるようにするための時間配分です。

ちなみに僕は確率・整数が苦手だったので、整数の第5問は手を付けず、確率の第2問を最後に回しました。

―設問1をどのように解いたかを詳しく教えてください。

これは演習を積んでいる人なら「対数微分法だ!」と瞬間的に分かるはずです。

解法は何通りかありますが、僕は \( x \rightarrow \infty \) のとき不等式の左辺と右辺が共に\(e\)に収束することに注目して単調増加・単調現象の議論に持ち込みました。

本番では右側の不等式の評価の計算に手間取って20分くらいかかってしまいましたが、素直に解ける問題でした。ここでまず1問完答して、次に進みました。

―設問2をどのように解いたかを詳しく教えてください。

僕は試験最後に取り組みましたが、実は(1)さえも間違えてしまった問題です。原因は題意をきちんと理解していなかったこと、そして過去に解いたことがある問題の類題だと勘違いしてしまったことです。

間違いに気付いたのは試験終了後に緊張感から解放された時でした。

さらにこれは開示得点からも分かったことですが、設問2には1点も与えてくれなかったようです。40分くらいかけて解答用紙を全て埋めたにも関わらず、です。

解き始める前に、問題文をしっかり読みほぐすこと、そして適切な方針を見抜くことの大切さがお分かりでしょうか。

このように本番の緊張感の中では、一度方針を定めて解き始めてしまうと修正が非常に困難です。解き始める前に、落ち着いて問題全体を見渡しましょう。

―設問3をどのように解いたかを詳しく教えてください。

設問1の次に15分程度でさっさと解いた問題です。方針もほぼ定まっていて、確実に解けるはずです。

最小値を取るのが\(a=2\)のときと単純で逆に間違ってないかと疑いたくなりますが、見直しばかりしていてもしょうがないです。ある程度割り切って進みましょう。

―設問4をどのように解いたかを詳しく教えてください。

「鋭角三角形」という言葉にびっくりするかもしれませんが、この条件を
\[「全て鋭角」\Leftrightarrow「\cos A \gt 0, \cos B \gt 0, \cos C \gt 0」\]
と言い換え、余弦定理を利用して辺の長さの不等式に関係づけられるかどうかがポイントです。

僕はたまたまこの方針が最初に思いついたので15分くらいで楽に解けました。

ですが、多くの方針が考えられる中で最短の解法に行き着くのは本来至難の技です。このような問題に直面したら、1つの解法に固執せずに柔軟に解き進めていきましょう。

なお、複素数には以下の3通りの表現があります。

➀\( z \)のまま処理
➁\( z=x+yi \)とおいて直交座標で考える
➂極形式で考える

今回の問題では、➀ \( \rightarrow \) ➁の順で考えると楽です。➀のまま解き進める解法もありますが、式が煩雑になります。計算量を減らすためにも、表現の変換は自在にできるようにしておきましょう。

―設問5をどのように解いたかを詳しく教えてください。

僕の場合、式の処理が煩雑になりすぎた時点でさっさと見切りを付けて第6問に向かいました。

ですが、実は不等式の両辺にある複雑な文字式を置き換えて式を単純にすると見通しが良くなります。
このことに気付けば(1)だけでも完答できるはずでした。

ところでみなさんは「置き換えは式を雄弁にする」(『東大数学で1点でも多くとる方法 理系編』より引用)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「角度は傾き、\( \tan \theta \) で立式せよ」などのように、みなさんも入試数学におけるいくつかの“格言”を聞いたことがあるかもしれません。

ところが、これらの言葉は覚えるだけでは入試では役立ちません。これらのノウハウを実践的に役立てるためにも、問題演習を通して解法を整理していきましょう。

―設問6をどのように解いたかを詳しく教えてください。

状況は単純ですが、難易度の高い体積問題です。

僕はまず線分を\(xz\)平面上に固定して考え、A\((a,0,0)\)とおき点Bの座標を\(a\)の式で表してから\(z\)軸周りに回転させるという方針をとりましたが、結果的に計算が非常に面倒になりました。(実際、最後の1行で計算ミスをしました。)

繰り返しになりますが、解き始める前の方針決定は非常に大切です。

今回はパラメーターの設定がポイントでした。積分区間が有名角で設定できることから、今回は角度で設定するのが正攻法の1つだったようです。

―最後に東京大学理科3類を目指している受験生に東京大学理系数学で高得点をとるためにアドバイスをお願いします!

まずは解けるべき問題を解けるようにしましょう。

特に入試直前期には、難易度の高い問題ではなく、典型的な問題を確実に解けるよう復習しておくことが大切です。

ここでの典型的な問題というのは、赤本でのA・B問題レベル、参考書で言えば「やさしい理系数学」の例題や「理系数学良問のプラチカ」のレベルの問題のことです。

また、数学は本番で実力通りの点数を出すのが1番難しい科目といえます。

数学を得点源に考えている人は多いと思いますが、本番で「絶対に6問完答してやる!」などと意気込み過ぎると足をすくわれて大失敗する可能性が高いです。

「最低3完、できたら4完、さらには5完をめざす」くらいの謙虚な気持ちで取り組みましょう。

そしてメンタルコントロールに細心の注意を払いましょう。

最後に、思うように解けなかったり、試験終了後に間違いに気付いたとしても絶対にあきらめないでください!
1教科失敗しても挽回のチャンスはまだまだあります。

僕の場合、試験終了後に第2問の間違いに気づいたとき絶望的な気持ちになりかけました。ですが、翌日の試験までには気持ちを切り替えて理科・英語に取り組めたため合格にたどり着くことが出来ました。

東大の場合、翌日にも240点分の試験が控えています。焦らず、落ち着いて受験に臨んでいきましょう。

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